松本潤主演『19番目のカルテ』インタビュー「総合診療科がもっと広まったら、世界はきっと今よりも優しくなる」
岩崎愛奈プロデューサーに、原作との出会いからキャスティングの裏話までを聞きました。
学校や会社、恋人や友人同士、家族間など、さまざまな場面で、自分の気持ちをグッと押し殺し、笑顔でその場をやり過ごしたことはないだろうか。
モヤモヤして、胸がキュッとなって、いつしかそんな日々が当たり前に。コップの水があふれそうなのに、見て見ぬふりをしている。でも、それが“生きる”ってことなんだと諦めている。日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系)第2話は、そんな人にも刺さる回だった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
心臓に先天性の病気を抱えている岡崎咲(黒川晏慈)が救急搬送されてきた。14年間彼を診てきた小児科医の有松しおり(木村佳乃)が処置にあたったが、ほどなくしてこの世を去った。
総合診療医の徳重晃(松本潤)は、長らく咲の看病をしていた兄・拓(杉田雷麟)のことが気になっていた。父親と一緒にいる彼を見かけたとき「笑わなきゃ」と“頑張って”笑っていたからだ。医師たちは咲のことは分かっていても、拓のことは何も知らない。有松に「お兄ちゃんが優しい笑顔の内に何をごまかし、何を隠しているのか」、「一度、ゆっくり話す機会をいただけないでしょうか?」と声をかけた。
その後、拓と話す機会が設けられた。あることが原因で歩行困難となり、車いす生活となったのにもかかわらず、父のことを気にする拓。徳重は「あなたはどうなんでしょう?」と問いかける。すると、少しずつ心の鎖が外れてきた拓がつぶやいた。
「俺は悪いお兄ちゃんだから。だって俺、咲が死んだとき……心の底からホッとしたんだ」
弟が生まれたとき母から「咲を守ってあげてね」と言われたこと、両親が弟のことでけんかが絶えなかったこと、そのことで不安そうにしていた咲に「悪い怪獣はヒーローがやっつける!」と鼓舞していたこと、母が出て行ったこと……。心のなかにあった苦しみを吐き出す拓に、徳重は「君が本音を話してくれて、僕は安心した。聞かせてください。あなたの話を。聞かせてください」と寄り添った。
がんじがらめになっていた鎖からすべて解放された拓は、堰を切ったように「ずっと苦しかった。逃げたかった。でも、僕は咲のことが好きだった」、「なのに、こんなことを思うなんて、咲が死んでホッとするなんて、僕は怪獣だ。お兄ちゃんなのに、お兄ちゃんは頑張らなくちゃだめなのに!」と吐露する。
そうして葛藤する彼に、徳重は「お兄ちゃんじゃないよ。あなたは岡崎拓だ。ヒーローの拓くんも、怪獣の拓くんも全部合わせて岡崎拓なんだ。それでいいんだよ」と伝えたのだった。
徳重と拓とのやりとり、ヤングケアラーの問題など、たくさんのことを受け取った第2話だが、“家族の前では笑顔でいようとする拓”が、“怪獣の自分に嫌悪感を持つ拓”が、どうにも忘れられない。
世の中には、自分の気持ちを押し殺して他人を優先する人、仕事や家庭のことなどで、自己犠牲が当たり前になっている人がたくさんいる。そして「こんな自分でいいんだろうか」ともがいている人がたくさんいる。
ドラマを観ていた人のなかには「徳重が無理に笑う拓に気づいたとき、まるで“私”も見つけてくれたみたいで嬉しかった」。そう感じた人もいたのではないだろうか。もちろん状況は違うし、ことの大きさも違う。だが、責任から逃れられない拓を、自分に置き換えた人もいたはずだ。
徳重は、患者だけでなく、視聴者の目の前にも座って話を聞いてくれる。ただ、無理に「こうした方がいい」とは言わない。「こんな自分でいいんだろうか」と葛藤する人たちを「あなたはあなたでいいんだ」と認めてくれるのだ。
患者の話を聞くとき、ほとんど口を挟まない徳重。だが、最後にその人の人生を肯定する一言をくれる。それは、その人にとって欲しかった言葉である。
徳重の言葉は「応援歌」だ。彼の言葉を聞くと、なぜだか前を向ける。なぜだか一歩踏み出せる。少しだけ「自分」を好きになる。
ドラマの世界に浸りながらも、自分も診察してもらった感覚になる『19番目のカルテ』。来週もまた徳重に会えるのがうれしい。
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