規格外の4年と試される1年 トーマス・フランク退任後のブレントフォードはどこへ向かうのか
戦術や数字を見れば、監督を含めた絶対的な個の存在に依存してきたブレントフォード。夏の移籍期間の間にチームを再編成し、万全の状態で新シーズンに臨むことができるか。
名門の没落はいつまで続くのか。マンチェスター・Uはまたしても暗く寒いトンネルの出口にたどり着くことはできなかった。
プレミアリーグ創設以来ワーストとなる8位でシーズンを終えた昨季からわずか1年。かつて世界のフットボールの中心でまばゆい輝きを放った名門は、その不名誉な記録を大幅に更新する最悪のシーズンを送った。白星は11、黒星は18、得点数は44、失点数は54。このいずれもがクラブワースト記録となった。
赤い悪魔の現状を描写するには、「暗黒期」という過激な表現を用いる必要に迫られる。そしてその責任の所在はオーナーを筆頭とする経営陣にあるという見方が強い。
今季最大の失敗はエリック・テン・ハフ前監督の解任時期を見誤ったことだ。前代未聞の悲惨なシーズンを誘発した当事者は、FAカップ優勝という免罪符を手に入れフロントの目をくらませ、まさかの続投を勝ち取った。結果、不安要素を抱えたまま新シーズンを迎えたクラブは10月までのリーグ戦9試合で3勝2分4敗と負け越し、名門復活を夢見るサポーターの淡い期待は早々に雲散霧消した。
開幕して間もない10月の下旬に解任されたオランダ人指揮官の後任には、ポルトガルで印象的な成績を残していたルベン・アモリムが抜擢された。長らく続いたポルトとベンフィカの二強時代に終止符を打つ19年ぶりの国内リーグタイトルをスポルティングにもたらした、絶賛売り出し中の40歳だ。
しかしながら新進気鋭の青年監督も、完全に舵を失った豪華客船の軌道を修正することはできなかった。シーズン途中の就任となったことで満足な準備期間は与えられず、引き継いでから年末までの8試合で2勝1分5敗を記録するなど、事態は好転することはなかった。
頼みの綱だったヨーロッパリーグでは順調に勝ち進んだものの、決勝で同じく泥沼のシーズンを送っていたトッテナム・ホットスパーに敗れた。もとよりこのタイトルが失意のシーズンを正当化する可能性は微塵も存在しなかったものの、それでも一発逆転でのチャンピオンズリーグ出場権獲得を逃した喪失感は、その事実以上に重くのしかかった。
アントニーやスコット・マクトミネイ、アーロン・ワン=ビサカらが移籍先で目を引く活躍を見せたことも、マンチェスター・Uというクラブそのものに不調の原因があることを示唆している。いずれの選手も泣く泣く引き抜かれたのではなくクラブが自ら手放した印象の強い移籍だったことも、フロント陣にとっては皮肉なものだ。
一方で暗い話題が多い中でも、世界有数の歴史を誇るクラブのブランド力は健在だ。今夏の移籍市場ではすでにウォルヴァーハンプトンからマテウス・クーニャを獲得しており、加えてブレントフォードの王様ブライアン・エンベウモや、アモリムの古巣スポルティングで大ブレイクを果たしたヴィクトル・ギェケレシュ獲得のうわさも聞かれる。すべてのうわさが現実となれば、間違いなく来季注目クラブの筆頭に躍り出るだろう。
かつての名門は今、奈落の底にいる。遠くに漏れる希望の光を目指して雪辱を誓う来季、これ以上失うものは何もないはずだ。
戦術や数字を見れば、監督を含めた絶対的な個の存在に依存してきたブレントフォード。夏の移籍期間の間にチームを再編成し、万全の状態で新シーズンに臨むことができるか。
中堅クラブとしての躍進を魅せたブライトンだが、いまだ欧州の舞台には一歩及ばなかった。成熟した戦術と若手の台頭によって過去最高を目指した今季は、期待と現実の間で揺れ動く旅となった。
数々の波乱により例年に増して激しい競争が見られた24/25シーズンのプレミアリーグ。その中でも最も大きなサプライズとして、ノッティンガム・フォレストの名前を思い浮かべる人は少なくないはずだ。
近年上位勢を脅かし続ける2チーム。ニューカッスルとアストン・ヴィラを分けたのはわずかに得失点差だった。