エヴァートンを率いる名将・モイーズ監督に独占インタビュー 12年ぶり復帰で得た手応えと“新スタジアム元年”への決意
2025年1月、12年ぶりに古巣エヴァートンへ帰還し、シーズン途中就任ながらチームを立て直したデイヴィッド・モイーズ監督。クラブにとっては新スタジアムで迎える歴史的な新シーズンを直前に控え、百戦錬磨の指揮官は何を思うのか。チーム再建への確かな手応えと未来への視線、日本との関わりや印象について訊いた。
プレミアリーグという変化の激しい世界で、フラムで5季目となる指揮を執るマルコ・シルヴァ監督。昨季はクラブのプレミアリーグ年間最多勝ち点記録を更新するなど、指揮官として確かな成果を収めてきた。
既存の選手たちとさらに絆を深め、チームを磨き上げていくプレシーズン、シルヴァ監督の頭の中にはすでに、青写真が描かれている。2025-26シーズン開幕が迫る中でのインタビューで、手応えと課題を訊いた。
──フラムの監督として5シーズン目を迎えます。プレミアリーグの監督としては長い在任期間になりますね。何があなたをこのクラブに留まらせているのでしょうか?
マルコ・シルヴァ:ええ、本当に長い時間ですが、私よりも長く一つのクラブに在籍している監督の例は他にもあります。ただ、現代のフットボール、そしてそれが向かっている新しいビジネスの形を考えれば、一つのクラブで5シーズン目を迎えるというのは、多くのことが本当にうまく機能している証拠です。
クラブ内部の人々とのつながりが良好であること。そして何より、フットボールの世界では結果やパフォーマンスが雄弁に物語りますから。私たちはこれまで、世界最高峰のリーグであるプレミアリーグに留まり、クラブにとって重要な目標のために戦い続けるために、皆で一丸となって多くのことを成し遂げてきました。
シーズンを重ねるごとに結果やパフォーマンスの面で改善を続け、昨シーズンはクラブのプレミアリーグにおける年間最多勝ち点記録も更新できました。これまでの道のりは非常に良いものでしたが、常に次の挑戦に心を躍らせています。
──プレシーズンのこの時期は、監督にとってどのような時間なのでしょうか。期待も大きいでしょうが、やるべきこともたくさんあるかと思います。
マルコ・シルヴァ:再びチームを構築し、新たな要素を加えていく時間です。5シーズン目なので、多くの選手は我々のことをよく理解してくれています。つまり、ここ数シーズンの主力の多くと一緒にトレーニングをしているわけです。
彼らに我々の基本的な考え方やプレースタイルを再確認させ、そこに少しずつ新しい要素を加えていく。そして、昨シーズンを分析し、良かった点と改善すべき点を洗い出す。まさにチームを“構築”する時期ですね。
──チームを強化する上での優先事項は何ですか?
マルコ・シルヴァ:優先事項は明確です。昨シーズン中から、重要なミーティングを何度も重ねてきました。シーズン終盤には、強化したい点、契約を更新したい選手、そしてオファーの有無にかかわらず残留させたい選手など、すべてが明確になっていました。
具体的な人数やポジションについてもお話しできます。さらに3、4人の選手をチームに加える必要があります。2、3人の攻撃的な選手、ミッドフィルダーを獲得し、昨シーズンよりもチーム力を向上させなければなりません。現状維持ではいけないのです。
もちろん、移籍市場が簡単ではないことは承知しています。我々のようなクラブだけでなく、より資金力のあるクラブにとっても厳しい市場です。フロントは、できるだけ早く選手を獲得するために、最善を尽くしてくれていると理解しています。
──若手のジョシュ・キングとの契約が更新されました。彼をクラブに留めておくことの重要性はどれほどのものでしょうか?
マルコ・シルヴァ:極めて重要です。なぜ私が彼のことを「極めて重要だ」と言うのか、理解できない人もいるかもしれません。しかし、クラブのあらゆる側面において、彼は間違いなく重要な存在です。
彼が持つクオリティは明らかです。トップレベルの若手選手であり、素晴らしい才能の持ち主なんです。彼はアカデミー出身で、近年トップチームに関わってきた選手の中でも、他の選手に失礼のないように言いますが、おそらく最も才能のある選手です。
我々は彼をサポートしていきます。昨シーズン、彼は17歳でプレミアリーグデビューを果たし、スターティングイレブンにも名を連ねました。我々が戦っているレベルでそれを達成するのは、決して簡単なことではありません。彼はそれに値するだけの努力をしたのです。
彼は同時に、アカデミーの若い選手たちに、トップチームへの道筋が明確に示されていることを証明してくれています。昨シーズンを通して、彼とは何度も率直な話し合いを重ねてきました。ですから、契約交渉が最終段階に達したときは、本当に喜びました。
──彼は数年前、トム・ケアニーにエスコートされてピッチに入場するマスコットキッズでした。ケアニーは彼のヒーローだと。そのケアニーもまた1年、契約を延長しましたね。
マルコ・シルヴァ:ええ(笑)。非常に嬉しく思っています。トムもまた少し時間はかかりましたが、最終的に素晴らしい結末を迎え、もう1シーズン共に戦えることになりました。
トムは先発出場する試合数やプレー時間にかかわらず、ピッチに立てば必ずインパクトを残せます。彼はもう若い頃のトム・ケアニーではありません。一方で、今も変わらぬサッカーへの愛情を持っていることがわかります。サッカーを観るのが好きで、考えるのが好きで、そしてプレーするのが大好きな人間なんです。毎回のセッションに笑顔で臨み、様々な形でチームを助けようとしてくれます。彼は正真正銘のフットボーラーですよ。
彼がこのクラブで11シーズン目を迎えること、そしてもう1シーズン一緒にいられることを、本当に嬉しく思います。
──彼はロッカールームでも絶大なリーダーシップを発揮していることでしょう。
マルコ・シルヴァ:ええ、非常に重要な存在です。とはいえ、彼はいわゆるみんなの尻を叩いて鼓舞するようなタイプのキャプテンではありません。全く違います。
──それは監督の役目ですか?
マルコ・シルヴァ:時には私がその役目を担うこともありますが、ロッカールームでは他の選手がその役割を担ってくれることもあります。トムはそういったタイプのキャプテンではないのです。必要な時には発言しますが、最も声高に話すタイプでもありません。しかし、彼にはリーダーシップにおいて重要となる、他の資質が備わっています。
彼は常に、手本といえる存在なのです。先ほど話に出た、例えばジョシュ・キングとの関係性もそう。彼がこれほど長くこのクラブにいるからこそ、生まれる関係があります。素晴らしいキャリアを築くことが期待されるジョシュのような若手選手にとって、トムがこの10年間、このクラブでどれほど重要な存在であったかを示すことは、大きな意味を持ちますから。
──昨シーズンを振り返ると、クラブのプレミアリーグでの年間最多勝ち点記録を更新するなど、記録破りのシーズンでした。しかし、もっとやれた、という感覚はありますか?
マルコ・シルヴァ:ええ。シーズンのある時期、1月までの戦いぶりは、チームのプレーレベルが非常に高く、トップレベルだったと思います。前のシーズンから、我々はプレーの多くの側面を改善させました。より堅実になり、同時に攻撃面ではより創造的になった。その点は非常によくできていたと思います。
しかしその後、どのクラブにも起こり得ることですが、重要な選手に離脱が相次ぎました。シーズン終盤の1ヶ月半はロドリゴ(・ムニス)を怪我で欠きました。ラウール(・ヒメネス)とロドリゴが揃っていれば、我々は全く違うチームになります。
加えて、ウイングのキープレーヤーであるリース・ネルソンとハリー・ウィルソンの離脱も長引きました。これは言い訳ではありません。それがプレミアリーグですから。しかし、攻撃陣の重要な選手を欠いたことで、我々はかなり苦しんだと思います。
もちろん、それが唯一の理由ではありません。他の要因については、私が分析し、改善に取り組むべき課題です。全体としては、我々にとって非常に良いシーズンでした。ただ、いくつかの決定的な瞬間、一歩前進できる状況があったにもかかわらず、いくつかの試合でそれを逃してしまいました。
ホームで迎えたFAカップの準々決勝は、我々にとって重要な試合でしたが、残念ながら最高の午後とはなりませんでした。プレミアリーグでも、リードを守りきれなかった決定的な試合がいくつかありました。こうした点を、来シーズンに向けて改善していきたいです。
──来シーズンに目を向けると、チームにとっての“成功”とは何でしょうか?
マルコ・シルヴァ:我々にとっての成功は常に変わりません。それは、一つ前のシーズンよりも良い成績を収めることです。
その意識は、昨シーズンの最終戦、マンチェスター・Cとの試合が終わった直後からすでに芽生えていました。試合後のロッカールーム、選手たちへの最後のスピーチで、我々が次のシーズンに何をしたいのかを明確に伝えたのです。
全体的な目標としては、昨シーズンよりも多くの勝ち点を獲得し、シーズンのラスト10試合から15試合の時点で、何かを懸けて戦えるような位置につけることです。勝ち点を再び伸ばせれば、我々が挑戦したいと願う何かをつかむための戦いに、加われるはずです。
──今シーズンの開幕戦はアウェイでのブライトン戦です。アメックス・スタジアムでの試合がどのようなものになるかについてお聞かせください。
マルコ・シルヴァ:素晴らしい一戦になるでしょう。彼らとの試合はいつもタフで、接戦になります。我々が比較的良い結果を残せている相手ではあります。昨シーズンは試合終了間際のPKで敗れましたが、全体的に見ればホームでもアウェイでも良い結果を得てきました。
彼らはトップクオリティのチームです。ここ数シーズンの彼らの補強は、本当に素晴らしいものです。今シーズンもきっとそうでしょう。それが彼らのやり方ですからね。質の高い選手たち、そして質の高い監督がいます。
しかし、我々も良いスタートを切りたい。開幕戦からインパクトを与え、力強さを示すことは常に重要なんです。
──先ほどトム・ケアニーに話を聞いたところ、彼の目標は「ヨーロッパの大会に出場すること、カップ戦で優勝すること、そして最低8ゴールを決めること」だと語っていました。選手たちが皆、高い目標を掲げていることは、どれほど重要ですか?それは監督から発信されているメッセージなのでしょうか?
マルコ・シルヴァ:ええ、素晴らしいことです。何より私がスタッフと選手たち、そして自分自身を鼓舞できなければ、この仕事は務まりません。それが私のフットボール観であり、それ以外のやり方は考えられないのです。
この3年間で、カップ戦で準々決勝に2度、準決勝に1度進出できました。ウェンブリーで何か非常に重要なものを懸けて戦うという、我々が望む場所に近づいています。プレミアリーグにおいても、我々は進歩し、より良い結果を達成しています。来シーズン、さらに上を目指すのであれば、ピッチ外での仕事、繰り返しになりますが、補強をしっかりと行わなければなりません。私は今の選手たちに非常に満足していますし、ロッカールームの雰囲気も素晴らしい。しかし、チームをもう一つ上のレベルに引き上げるためには、さらなる助けが必要なのです。
いずれにせよ、試合が始まれば、我々は常にベストを尽くすことを約束します。そして、昨シーズンからさらに向上しようという野心は常に、100%目の前にあります。
2025年1月、12年ぶりに古巣エヴァートンへ帰還し、シーズン途中就任ながらチームを立て直したデイヴィッド・モイーズ監督。クラブにとっては新スタジアムで迎える歴史的な新シーズンを直前に控え、百戦錬磨の指揮官は何を思うのか。チーム再建への確かな手応えと未来への視線、日本との関わりや印象について訊いた。
昨シーズン、70年ぶりに国内タイトルを獲得したニューカッスル。キャプテンとしてクラブの中心を担うブルーノ・ギマランイスは、「僕たちはもっとハングリーになっている」と、新シーズンのさらなる躍進を見据えている。 中盤で次々に相手のチャンスの芽を摘み、攻撃面でも常に闘う姿勢を崩さない、“マグパイズ”のダイナモ。ギマランイスの原動力とサッカーへの眼差し、そして新シーズンへの意気込みを、U-NEXTオリジナルインタビューで紐解いていく。
昨季はUEFAカンファレンスリーグとクラブワールドカップの二冠を達成した、チェルシーのエンツォ・マレスカ監督。「非常にポジティブなシーズン」と手応えを口にする昨季の成績を踏まえ、久々のプレミアリーグタイトルへ、ファンの期待も日に日に高まっているだろう。 つかの間のオフとプレシーズンを経て、どのような心境で開幕直前を迎えているのか。セリエA中継実況などでおなじみの北川義隆さんが、マレスカ監督にイタリア語でインタビュー。冷静な言葉の奥にある、指揮官の哲学と見据える先を紐解いていく。
昨季はプレミアリーグで勝ち点43の14位に終わったウェストハム。苦しむチームの中でも、リーグ戦34試合で13ゴール10アシストの活躍を見せたのが、イングランド代表ジャロッド・ボーウェンだ。キャプテンとしてチームを牽引する同選手は、“ハマーズ”の現状をどう見つめ、新シーズンへ向け何を思い描いているのか。プレシーズンの手応えと率直な想いを、U-NEXTのインタビューで語ってくれた。
昨季、圧倒的な堅守を武器にチャンピオンシップを2位で終え、プレミアリーグ昇格を決めたバーンリー。クラブを1年でのプレミア復帰へ導いたのが、昨季就任したスコット・パーカー監督だ。 監督として、自身3度目となるプレミア昇格を成し遂げた指揮官は、今のチームを「成功のために、たゆまぬ努力を惜しまない集団」と表現する。昨季の成功の礎となった「一体感」を武器に、台風の目となれるのか。開幕を間近に控えたその胸中を、U-NEXTのインタビューで訊いた。
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