多くの女児の初恋を奪ってきた国民的人気シリーズ『忍たま乱太郎』の魅力とは
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多くの女児の初恋を奪ってきた国民的人気シリーズ『忍たま乱太郎』の魅力とは

2024.10.01 00:00

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乱太郎、きり丸、しんべヱら忍者のたまご“忍たま”たちが通う忍術学園で繰り広げられる、明るく、楽しく、愉快な毎日を描いたTVアニメ。12月20日(金)からは最新映画『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が劇場公開されるとあって、今改めて注目を集めている。

そもそも『忍たま乱太郎』は、朝日小学生新聞にて1986〜2019年まで33年にわたって連載された、尼子騒兵衛著作の長寿漫画「落第忍者乱太郎」原作のTVアニメシリーズ。1993年4月の放送開始以来、現在32シーズン目を迎えており、メインターゲットの小学生はもちろん、その親世代まで、みんながみんな主題歌「勇気100%」を歌えるほどに支持・認知度の高い国民的ロングヒットシリーズだ。

数あるご長寿子ども向けアニメの中でも『忍たま乱太郎』がずば抜けているのが、女性層の人気の高さ。子ども時代に男性キャラクターに心を奪われ、大人になっても一途に想いを寄せている女性ファンが多数存在する。中でも主人公・乱太郎たちの先輩でもある上級生が登場した第16期(2008年)からは、その人気が爆発。六年生をメインとした友情物語に夢中になる女性が続出し、今なおその熱は多くのファンに伝播し続けている。

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©尼子騒兵衛/NHK・NEP

また、実写映画など、次元を超えて映像化もされている『忍たま乱太郎』の中で、上級生たちをフィーチャーした“忍ミュ”ことミュージカル「忍たま乱太郎」の人気は特筆すべきものがある。2010年1月の初演以来、大人気ミュージカルシリーズへと成長。初期シリーズには、荒牧慶彦、佐藤流司、陣内将ら、現在の2.5次元舞台界を牽引する人気俳優陣も出演していたことでも知られる。中でも六年生の人気はミュージカル版でも圧倒的で、新旧キャストが集結した「六年生単独ライブ」も2024年に第2回目が開催されている。

「なぜ『忍たま乱太郎』だけ、女性人気が高いの?」そう思われる方も少なくないだろう。その理由を端的に表現するなら「数多くの女児の初恋を奪っていったから」。

華やかなビジュアルと圧倒的なスタイルの良さを誇るような、いわゆる“イケメン”キャラとはほど遠い、素朴なキャラクターデザインなのになぜ?と思われるかもしれないが、シンプルなビジュアルだからこそ、見かけに惑わされることのない心根のカッコ良さ、言うなれば「真のイケメン度」が浮き彫りにされ、真実を見抜く純粋な女児たちのハートを射抜いてしまうのだ。

そんな真のイケメンキャラがわんさか存在する「忍たま」界において、No.1の初恋泥棒&初恋キラーとして君臨し続けているのが、土井先生こと土井半助だ。土井先生は、乱太郎、きり丸、しんべヱたち忍術学園・一年は組の教科担当教師。第1シーズン第1回目から登場する、最古参メンバーのひとりでもある。長身でとにかく優しく生徒思い、そのうえ、声優・関俊彦による温かくて柔らかなイケボという、年上の優しいお兄さんに心惹かれがちな女児を静かに、そして確実に「忍たま沼」へと引きずり込んでいった。

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『忍たま乱太郎 第16シリーズ』第7話「怪しい屋敷の段」より ©尼子騒兵衛/NHK・NEP

そして、土井先生と同じくイケメンお兄さん枠で活躍していたのが、一年は組の実技担当教師・山田伝蔵の一人息子、山田利吉だ。フリーの売れっ子忍者という設定もあり、声優・岡野浩介によるちょっとクールなイケボや、洗練された身のこなし、そして作品内での華麗な活躍ぶりで、土井先生に継ぐ初恋泥棒として、女児たちの生まれて初めての恋心を奪っていった

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『忍たま乱太郎 第16シリーズ』第52話「仕事の途中で…の段」より ©尼子騒兵衛/NHK・NEP

そんな2人が大活躍するのが、劇場版第1作『映画 忍たま乱太郎』だ。1996年公開の本作では“軽身剤”と呼ばれる秘薬の製法が書かれた、明から取り寄せた古い秘伝書をドクタケ忍者隊から取り戻すために、利吉をはじめ、乱太郎たち一年は組、そして土井先生たちが奮闘する物語が描かれる。

映画最大の見どころは、土井先生の美しさが際立つ女装だろう。ドクタケ忍者隊の隙をぬってドクタケ城・出城への潜入を画策していた先生方は、山田先生が見つけた、出城での女性パート募集広告に応募するため、女性の姿に。ヒゲのそり跡が残る山田先生とは異なり、土井先生の女装は完璧。その美人ぶりは、土井先生のイケメン度をさらに強化することもあり、ファンは大絶賛。公式も土井半助の女装=半子にニーズがあると理解してからは、TVシリーズでも時々登場させるといったファンサービスを欠かさないという最高の供給源が誕生した。そして、出城に先んじて潜入していた利吉もドクタケ忍者隊の扮装で、女装した父と土井先生の前に登場。赤い丸サングラスや赤の忍者装束もスタイリッシュに着こなしながら、出城に囚われていた乱太郎らは組の面々の前に参上する。その活躍ぶりに口を揃えて「かっこいいー!」と大絶賛し、は組メンバーに共感する女性ファンが続出。また、土井先生&利吉という初恋キラーコンビが、半子&ドクタケ利吉というスペシャルな姿で、子どもたちを助けるために共闘するシーンも注目ポイントだ。

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©1996・尼子騒兵衛・総合ビジョン ©映画「忍たま乱太郎」製作委員会

2024年12月には、13年ぶり3度目となる最新映画『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の公開が決定している。映画化にあたり、復刻した同名小説が原作となる本作は、土井先生を大フィーチャー。『映画 忍たま乱太郎』にも登場したドクタケ忍者隊と忍術学園との対立を描く、サスペンス仕立てのストーリーとなっている。

タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった後、土井先生は消息を絶ってしまう。山田先生と六年生による捜索が始まる中、担任不在の一年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と、尊奈門が教壇に立つことに。そんな中、きり丸は偶然、土井先生が置かれた状況を知ってしまう。一方、土井先生捜索中の六年生の前に突如現れたのは、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼。その顔は、土井先生と瓜二つだった…。

半子を思わせるばさばさのロングヘアーが特徴の天鬼だが、土井先生のような優しい瞳ではなく、いわゆる「ジト目」をしていたりと、土井先生とは明らかに違う点も。そんな天鬼が竹林の中で華麗な剣術を披露しながら六年生に襲いかかり、傷を負わせるといった大人向けのシリアスなシーンも盛り込まれている。

初代キャラクターデザインを担当し、前作『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』でも監督を務めた藤森雅也や、「小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師」の著者であり、TVシリーズも手がけてきた阪口和久が脚本を手掛けている。そして、TVシリーズを長年制作してきたアニメーションスタジオ・亜細亜堂や、高山みなみ(乱太郎)、田中真弓(きり丸)、一龍斎貞友(しんべヱ)、関俊彦(土井半助)ほか、おなじみの豪華キャスト陣が集結するなど、まさに完璧な布陣が集結。そこへ、父・大塚周夫から山田先生役を引き継いだ大塚明夫も加わるなど、アニメファンにはたまらないキャスティングが実現している。

発刊以来、映像化が待ち望まれていた小説だけあって、映画の特報がYouTubeチャンネルで公開されるたびに、ネットには子ども時代から沼にハマり続けてきた濃い「忍たまオタク」はもちろん、初恋が土井先生だったことを思い出して復帰した女子たちの声が続出。彼女たちの熱い想いが原動力となり、大ヒットを記録することがすでに予想されている。

2024年年末から25年にかけて、再ブーム到来確実の『忍たま乱太郎』。その世界観を凝縮した劇場版第1作で、「忍たま」ワールド&初恋泥棒コンビの魅力を再確認してほしい。

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