「ライバルという感覚はない」開幕から好調キープの上田綺世、代表でのポジション争いや連携の鍵を語る|サッカー日本代表強化試合 vs. メキシコ・アメリカ
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「ライバルという感覚はない」開幕から好調キープの上田綺世、代表でのポジション争いや連携の鍵を語る|サッカー日本代表強化試合 vs. メキシコ・アメリカ

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サッカー日本代表は、日本時間9月7日に世界ランク13位のメキシコ、9月10日に同15位のアメリカと強化試合を行う。来年に迫ったW杯の開催地でもある、アメリカに遠征しての連戦。オランダ・エールディヴィジの名門、フェイエノールトで開幕3戦4ゴールと好調を維持する上田綺世は、今回の連戦をどのような機会と捉えているのか。スポーツライターのミムラユウスケが聞き手となり、今の心境を独占インタビューで訊いた。


──今季リーグ戦での4ゴールのうち3つが、こぼれ球を押し込む形でした。周りは「たまたま」と言うかもしれませんが、ご自身の中ではいろいろと考えがあるのではないでしょうか。

上田:そうですね。こぼれ球を詰めるプレーは、ポジショニングや準備の段階から意識しています。シーズンを通してそういったゴールを増やしていきたいという気持ちが今年は特に強く、それが結果として形になっているのかなと思います。

──ボールを収めるプレーも進化しているように見えます。先日行われたスパルタ・ロッテルダム戦では、後方からのボールをジャンプしながら胸でトラップする、まるでレヴァンドフスキを彷彿とさせるようなプレーがありました。簡単なプレーではないと思いますが、そういった部分でも成長を感じていますか。

上田:ジャンプ力や体の強さにはもともと自信がありましたし、フェイエノールトに加入してからも様々なトレーニングを積んでいます。ただそれ以上に、ボールを受けるタイミングやボールへの入り方といった部分は、この2年間で大きく身についたのではないかと感じています。

──鹿島アントラーズでプロキャリアをスタートさせた頃と比較すると、どれくらい違うものでしょうか。

上田:比べるのは難しいですね。というのも、過去と比べるというよりは、常に成長し続けることを自分の中では大事にしているので。ただ、たとえばフェイエノールトに加入する前と後では、ボールが収まる割合や、ファウルをもらってマイボールにするプレーの数字は、確実に違っているはずです。日本代表でのパフォーマンスにしても、以前とはまったく違うものになっているのではないかと思います。

──ではゴールシーンだけでなく、その前の動き出しといった部分も、さらに期待していいということですね。

上田:はい、そうですね。

──現在の日本代表には、シャドーのポジションに様々なタイプの選手がいます。彼らの特徴をどのように使い分け、連携しているのでしょうか。

上田:簡単には説明しづらいのですが、たとえばある選手が良い状況でボールを持った時、その選手がドリブルで仕掛けるタイプなのか、あるいはツータッチ目でパスを出す可能性が高い選手なのかを瞬時に理解して動いています。利き足はもちろん、その試合の状況なども考えた上でプレーを選択します。

そして、味方が前を向いた時、自分の近くにどの選手がいて、自分はどう動くべきなのか。そういった多くの要素を考慮しながら動いています。もちろん、毎回うまくいくわけではありませんが、その局面で日本代表がチャンスになるような動きというのは、常に意識してプレーしています。

──試合中にそういったことを瞬時に判断するためには、何が最も重要だとお考えですか?練習からいろいろ試すことなのか、それとも単純に一緒にプレーする時間の長さなのでしょうか。

上田:自身のフォワードとしての経験も必要ですし、瞬時の判断には感覚的な部分も大きく影響します。ですが、やはり味方選手の特徴を深く知らないとできないプレーでもありますね。

代表活動の最初は自分のタイミングで動いていましたが、今ではチームメイトが(南野)拓実なのか、(鎌田)大地くんなのか、タケ(久保建英)なのか、あるいは(堂安)律なのか、それぞれの選手がどういうプレーヤーなのかをしっかり理解しているつもりです。その理解に合わせて自分の動きを変えることができれば、自分も味方もより生きると思いますし、ボールを引き出せる回数も増えてくると考えています。

──最前線のポジション争いも激しいですが、他のフォワードの選手をライバルとして意識することはありますか?

上田:ポジション争いはもちろんありますが、ライバルとして見るという感覚は、僕の中には特にありません先ほどもお話ししたように、自分が成長すること、その場で100%の力を出し、求められている役割をしっかり果たすことだけを意識しています。

たとえば小川航基くんであれば、彼の持っている感覚を僕も知ってみたい。他の選手の感覚や特徴についても同じです。試合で何を感じたのか、どういう意図でプレーしたのか、そういったフィードバックや情報の共有は、フォワードの選手間では自然と生まれているように感じます。

それはライバルだからということではなく、純粋に「どういうふうに感じてプレーしているのか」という興味からですね。これはフォワードに限った話ではないと思います。

──個人的な話になりますが、カタールW杯のコスタリカ戦を振り返らせてください。試合序盤のコーナーキックで、相馬勇紀選手の素晴らしいボールに、上田選手も完璧なタイミングでニアに飛び込みましたが、惜しくも合いませんでした。あの1本が決まっていれば全てが変わっていたかもしれない、そこまでのプロセスは素晴らしかったと感じました。今、あのシーンをどのように振り返りますか。

上田:もちろん、あのシーンで僕がヘディングシュートを決めていたら、今とはまた違う立場や、違う未来があったのかもしれません。でも、僕はもう20年サッカーをやってきて、そんなシーンは山のように経験してきました。「あれが決まっていたら」という場面は、大学時代、高校、中学時代…どこかで1点取っていたら、何かが変わったかもしれない。

大事なのは、その経験をどう次に生かすか、自分がどう解釈するかです。悔しいという感情はもちろんありますが、それ以上に「なぜ決めきれなかったのか」を具体的に自分で考えなければならない。それを次につなげることが経験であり、成長につながるのだと思っています。

あの場面は、悔しい記憶の一つとして僕の中に確かに残っていますし、人生を変えるチャンスだったことも間違いありません。かといって、そこで終わりではない。あのワンシーンだけで言えば、ゴールへの進入角度だったのか、頭の当て方だったのか、あるいはシンプルに僕のヘディングが下手だったのか。様々な角度からプレーを捉え、次に生かす努力はしていきたいです。

──次の対戦相手はメキシコです。特別な思いはありますか。

上田:そうですね。特にメキシコ代表のフォワードの選手(サンティアゴ・ヒメネス)は、フェイエノールトで一緒にプレーしていたので、すごく思い入れがあります。素晴らしい選手ですし、日本代表として彼と戦えるのは本当に楽しみです。

──アメリカ代表について、森保監督は「監督も代わり、いろいろと試す段階」と分析しています。そうなると、個の競り合いが重要になってくるかと思いますが、いかがでしょうか。

上田:そういったところは僕にはあまり分かりませんが、アメリカ代表のイメージとしては、技術もパワーもあり、少しずつ力をつけてきている国なのかなと。僕たちはアジアでの戦いが続いていましたが、ここでそういったタフな相手と戦えるのは、チームにとってすごく良いことだと思います。アジア予選などを通じて積み上げてきたものが、どのくらい通用するのか。その一つの指標になると思います。

──次回のW杯本戦の開催地でプレーできる意味と、この2試合への意気込みを改めてお願いします。

上田:現地の環境を肌で感じられるという意味で、実際にその地でプレーできるのは非常に大事なことです。僕たちは普段、それぞれ違う国でプレーしているので。

アジアのチームとは違うスタイルの相手と対戦できることは、僕らにとって成長する絶好のチャンスです。この2試合、結果にこだわってしっかりと勝ちきって、次につなげていきたいと思います。


【第1戦:日本 vs. メキシコ】
配信日時:2025年9月7日(日)AM 11:00 K.O
配信形態:U-NEXT月額会員、およびサッカーパック加入者は追加料金なく視聴可能
会場:オークランド・コロシアム(オークランド/アメリカ)

【第2戦:日本 vs. アメリカ】
配信日時:2025年9月10日(水)AM 8:37 K.O
配信形態:無料(U-NEXTアカウントを所持していなくても視聴可能)
会場:Lower.com フィールド(コロンバス/アメリカ)

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