世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体として、世界最高のMMAアスリートが名を連ねるUFC。U-NEXTでは、2025年9月7日(日本時間)開催の『UFCファイトナイト・パリ:イマボフ vs. ボハーリョ』を見放題でライブ配信する。
メインイベントは、ランキング2位のナッソージン・イマボフ(フランス)に、勢いに乗る7位カイオ・ボハーリョ(ブラジル)が挑むミドル級戦。精度の高いストライキングとリーチを武器にするイマボフに対し、オールラウンドで完成度の高いボハーリョがどう攻略するかが見どころだ。勝者はタイトル戦線に大きく近づく。ヨーロッパの熱狂的な声援を背に、激しい攻防が期待される。
以下、メディアデーでのボハーリョのコメントをお届けする。
──イマボフ選手との対戦にあたり、あなたは打撃やレスリングといった技術的な側面と同じくらい、マインドゲームやトラッシュトークを重要な武器としているように見えます。彼がその点を改善してくる可能性は考えなかったのですか?あなたに敵対的な観衆の前でトラッシュトークをすることは、危険な賭けにはならないでしょうか?
ボハーリョ:一体何を言ってるんだ?(笑) つまり、彼はトラッシュトークが下手だったけど、最近は少し上達したかもしれないってことか?
──ええ、あなたとチームにとって、マインドゲームやトラッシュトークはゲームプランの一部だと感じています。彼がそのレベルでも成長していて、冷静さを失わない可能性についてはどうお考えですか?それとも、これは単にあなた自身をプロモートするための手段なのでしょうか。
ボハーリョ:ああ、そういうことか。彼はトラッシュトークが下手だったけど、今は上達した。だから俺がそれを恐れてないかって、そういう話だよな?
正直に言うと、これは単なるプロモーションだよ。この試合を面白いものにする必要があった。俺たちはそれをやっただけ。ナッソージンなんて、俺が相手になる前は誰も話題にしてなかっただろ。彼はSNSで多くを語るような男じゃなかった。俺が彼にそうさせたんだから、むしろ感謝してほしいくらいだぜ。
トラッシュトークに関しては、お互いにリスペクトを欠いたことは一度もなかったと思う。これはビジネスの一部、ショーの一部なんだよ。この試合がもっと面白くなるようにしたかっただけ。そして今、みんながこの試合を観たがっている。俺たちの仕事は完了したってことだ。もうトラッシュトークも、おしゃべりも、冗談も終わり。あとはケージの中で俺と彼が殺し合いをするだけ。強い方が勝つ、それだけさ。
──約1ヶ月前にバックアップファイターとしてシカゴで減量を行いましたが、コンディションはいかがですか?また、試合の具体的な決着予想があれば教えてください。
ボハーリョ:絶好調だよ。さっきも外でサーモンをたくさん食べてきたところだ。ピザも4〜5枚は食べたかな。ここのサーモン、食べたことあるか? めちゃくちゃ美味いんだよ(笑)。朝食はもう食べたし、今サーモンを食べた。あと1時間半もすれば、米と美味いステーキで昼飯だ。俺はステーキが大好きなんだよ。
体重のことは心配してない。俺の後ろにはプロのチームがいるからな。最高のチームが俺を支えてくれてるし、俺自身もすべてにおいて規律を守っている。だからバックアップに指名された時も、すぐにプランを立てて、その通りに実行しただけさ。体重も低く維持してきたし、やるべきことはすべてやった。実際、シカゴでの減量はキャリアで最もスムーズで、最高の出来だったんだ。今回はそれ以上になるだろうから、心配無用さ。
もしみんなが心配してるなら言っておくけど、これが俺のパフォーマンスに影響することは絶対にない。万が一、計画通りにいかずにこの試合に負けたとしても、それを減量のせいにするつもりは毛頭ない。ナッソージンが俺より優れていたってだけの話だ。まあ、そんなことは起こらないと思うけどな。
──試合展開の予想は?
ボハーリョ:予想は、第4ラウンドでのフィニッシュだ。
──UFCパリ大会のメインカードに出場する4人のコンテンダーの中で、あなたは最もタイトル挑戦の正当性が低いと見なされているようです。土曜日の試合で、その評価をどう覆すつもりですか?
ボハーリョ:なんだって?(笑)俺が最も正当性がない?
──ええ、トップ3やトップ4の選手に勝利する必要があるという意味で、そう見られているようです。
ボハーリョ:なあ、俺はUFCで9戦無敗、10年間無敗なんだぜ。いま16連勝中だ。キャリアの初期からハイレベルな選手と戦ってきた。負けが込んでいるような選手や、UFCからリリースされそうな選手を当てがわれてきたプロスペクトとは違うんだよ。だから、そんなニュースは信用しない方がいい。
それに、俺はトップ5の選手を求めてきた。ジャレッド・キャノニアに勝った時、彼はトップ5だった。そして俺がトップ5になった。今は階級が大きく動いて俺は7位だけど、そんなことはどうでもいい。土曜日の試合後、火曜日には俺の名前がランキング2位に載っているだろうさ。ナッソージンを倒すからな。
──先日、あなたは「個人的な感情は何もない」と語っていましたが、ナッソージン選手は「これは個人的な戦いだ」と発言しています。これについてどう感じますか?あなたにとって有利、あるいは不利に働くと思いますか?
ボハーリョ:何も思わないね。ナッソージンは経験豊富な男だ。彼はマインドゲームを仕掛けたいんだろうし、俺も自分のマインドゲームをやってる。結局のところ、これはただのビジネスなんだよ。
もう話すことは何もない。彼がインタビューで「握手するかもしれないし、頭突きするかもしれない」とか言ってたのを聞いたけど、どうでもいいよ。土曜日には拳を顔面に叩き込んでやるっていうのに、今さら頭突きがなんだってんだ?
だからもう気にしない。俺はもうここ、パリにいるんだ。彼は長いことこの試合から逃げようとしてきた。俺たちは6月のインターナショナル・ファイトウィークで戦うはずだったんだ。みんな知ってるか分からないけど、彼はこの試合を断ったんだよ。それで今回、UFCが彼にこの試合を受けさせた。彼に選択肢はなかったのさ。俺はここにいる。彼の故郷にな。そして乗り込んでいく。ケージに鍵をかけて殺し合いをするだけだ。
──今週、イマボフ選手の元所属ジムであるMMAファクトリーでトレーニングをしていますが、どのような経緯があったのですか?
ボハーリョ:実は偶然なんだ。少しは意図があったかな(笑)。正直に言うと、彼のジムのオーナーの一人が、俺の故郷であるブラジルのサン・ルイス・ド・マラニョンの出身なんだよ。同じ故郷の出身で、彼は2年くらい前からずっと俺たちのジム「Fighting Nerds」でトレーニングしたいと思ってたらしい。それで偶然、彼が2ヶ月くらい前にジムに来て、すごく仲良くなったんだ。だから今回俺がここに来た時、彼がトレーニングする場所を提供してくれたってわけ。ただそれだけのことさ。
別に深い意味はないよ。でも、もしみんなやナッソージンがそう見たいなら、それでも俺は構わないけどな(笑)。
──イマボフ選手の最大の武器は打撃だと思われますが、その打撃で渡り合えることを証明したいという気持ちはありますか?それとも、ご自身のゲームプランに徹しますか?
ボハーリョ:この試合は、俺がいかに賢く、そして万能であるかを証明するものになるだろうな。俺は試合のたびに、感情も、エゴも、何かを証明したいという気持ちも持ち込まない。エゴこそが転落させるものだと思うからだ。
もちろん、ナッソージンの実力を軽視しているわけじゃない。彼は驚異的なストライカーだ。スピードがあって、若くて、素晴らしいアスリート。その点はリスペクトしている。だから、ショーを見せて、彼を支配するためにできることは何でもやるつもりだ。俺がいかに万能かを見せてやる。MMAとは何かを、お前たちに見せてやるよ。
俺が打撃を繰り出し、テイクダウンし、柔術を披露するのを見ることになるだろう。すべてをな。俺が証明したいのは、彼より優れたストライカーだということじゃない。彼より優れたファイターだということだ。これは打撃の試合じゃないからな。
──先ほど「エゴが人を転落させる」とおっしゃいました。あなたのエゴに関する哲学をもう少し詳しく聞かせてください。
ボハーリョ:エゴに満ちていると、時に細かいことを見失い、頭に血が上りすぎて、それが敗北につながる。例えば、ポール・クレイグと戦うとしよう。彼は驚異的なガードプレイヤーだ。俺は自分の柔術が優れていることを知っているし、彼とやり合える自信もある。もし俺のエゴが高かったら、彼のガードの中に入っていって柔術で勝負しようとするだろう。そしたらどうなる?彼に一本取られるかもしれない。それが、エゴが俺を転落させるってことの例だ。
だから俺にエゴはない。俺は毎日、自分のエゴと戦ってる。ジムの中だけじゃない。家にいる時も、妻や子ども、友人、家族といる時もだ。エゴとは戦わなきゃならない。だって、何の役にも立たないからな。人生においても、戦いにおいても、エゴは助けにならないのさ。
──多くのメディアが、このファイトナイトをサッカーのフランス対ブラジルのような対決だと比較しています。サッカーはご覧になりますか?この対決構造が、大会をどれほど大きなものにしているか認識していますか?
ボハーリョ:もちろんさ。サッカーでは俺たちがフランスより上だと思ってる。確かにお前たちは98年に俺たちに勝ったけど、ワールドカップの優勝回数はこっちが5回で、そっちは2回だろ。これについて議論の余地はないと思うけどな。
それに、世界最高の選手になったフランス人が何人いる? じゃあ、ブラジル人は何人だ? 議論にならないだろ。俺がサッカーについて黙ってたのは、議論の必要がないからだ。お前たちは98年の決勝戦のことしか頼りにしてない。それがすべてで、それ以外は何もないだろ? 5回のワールドカップ対2回。これ以上何が欲しいんだ?(笑)
──試合が正式決定する前と比べて、今のあなたはより集中しているように見えます。メインイベントが近づいていますが、現在の心境はいかがですか?
ボハーリョ:ああ、集中してるように見えるか? 間違いない。ファイトウィークになれば、ファイトモードに切り替わる。そして、それこそが戦いに臨むべきモードなんだ。世界最高の男の一人と戦うんだからな。
さっきも言ったけど、ナッソージンのことは一切軽視していない。彼は非常に優れたアスリートで、素晴らしいストライカーだ。だから俺は、世界最高の相手と戦う準備をしてきた。もし彼がそれ以下だったら、それは俺にとって儲けものだけど、俺は戦争の準備をしている。5ラウンドの激闘を、顔面を殴られ、殴り返すことを覚悟してる。どっちが強いか見届けようじゃないか。だから集中しなきゃならない。真剣に取り組む必要がある。そしてこの試合が、次のタイトル挑戦者を生むことになる。だからこそ、このファイトウィークはより集中しているんだ。そうあるべきだからな。
──トラッシュトークの応酬は、お二人とも見事でした。特にナッソージン選手が投稿したビデオは、あなたも「いいね」していましたね。このプロモーション合戦は成功し、MMA界の注目をこのメインイベントに集めることができたと感じていますか?
ボハーリョ:ああ、大好きだぜ(笑)。もちろん、俺たちは素晴らしい仕事をしたと思う。さっきも言った通り、ナッソージンは俺に感謝すべきだ。俺が彼にそうさせたんだからな。みんなも知ってるだろ?彼はSNSで多くを語るような男じゃなかった。俺がきっかけで彼は始めたんだ。彼は素晴らしい仕事をし、俺も素晴らしい仕事をした。全世界がこの試合を観たがっているし、俺たちはファンに最高の試合を届けるつもりだ。
──世界で最も熱狂的と言われるフランスの観客がつくる雰囲気に対して、どのような準備をしてきましたか?スパーリングの映像では、偽のレフェリーが相手を「イマヴォフ」と呼んでいるのが見られましたが、あの騒音の中でセコンドの声が聞こえなくなる可能性についてはどうお考えですか?
ボハーリョ:(笑)もし俺にセコンドの声が聞こえないなら、ナッソージンにも聞こえないだろ? だから有利不利はないし、心配することもない。
正直なところ、フランスのファンの前で戦えることをとても嬉しく思っている。彼らは史上最もクレイジーで、エキサイティングなファンだと聞いているからな。俺はそういうのが大好きなんだ。俺たちファイターが世界から注目される価値を与えてくれる、スポーツをリスペクトしてくれる人たちだ。彼らがショーを作り上げる。だから、俺はフランスの観客をとてもリスペクトしている。
いつも通り、エネルギー全開で、笑顔で入場するつもりだ。もし観客が手を出してくれたら、ハイタッチを交わすよ。俺はエネルギーを糧にするタイプで、それが俺に向けられた敵意であろうと、声援であろうと気にしない。彼らがエネルギーをくれれば、俺はそれを糧にする。そのすべてのエネルギーを吸収して、オクタゴンの中で解放するつもりだ。
──SNS上での舌戦は、試合に先立つ「第一ラウンド」のようでした。この戦いには勝利したと思いますか?
ボハーリョ:この種の戦いに勝者なんていないと思うね(笑)。本当の戦いは土曜日に行われるんだから、どうでもいいよ。確かに、この「第一ラウンド」に勝ったとされる例はたくさんある。コナー・マクレガーとジョゼ・アルドの時みたいにな。でも、今は時代が違う。みんな強い精神力を持っているし、マインドゲームのやり方も心得ている。
正直に言うと、ナッソージンのビデオは100%、彼のアイデアじゃないだろう。彼の背後には優秀なチームがいて、それを動かしている。その点は素晴らしいことだ。ファイターにはそういうチームが必要だからな。俺のビデオは全部、俺のアイデアだ。それをチームに伝えて作ってもらった。
彼のインタビューを見ればわかるけど、彼はマネージャーが言ったことをそのまま話しているだけだ。マネージャーがインタビューで「A」と言えば、彼はインタビューで全く同じことを言う。マネージャーが別のインタビューで「B」と言えば、また同じことを言うんだ。だから、彼は人が言ったことを繰り返しているだけ。別にこの舌戦に負けたと言っているわけじゃない。ただ、彼は本来そんなにおしゃべりなタイプじゃないってことさ。それはそれでいいんだ。