『やぶさかではございません』最終回 私たちはおそらく理想的な「愛し愛され」を目撃した
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『やぶさかではございません』最終回 私たちはおそらく理想的な「愛し愛され」を目撃した

2025.06.12 12:50

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松村沙友理が主演を務めるドラマNEXT『やぶさかではございません』。U-NEXTでは各話1週間独占先行配信されている。

同棲を始めた不思議麻衣(松村沙友理)と上下亮(駒木根葵汰)。少し落ち着いた関係になるのかと思いきや、上下の愛は増幅していくばかり。その愛の大きさは、麻衣を戸惑わせるほどだ。しかし、同棲をスタートさせて間もなく、上下は風邪をひいてしまい……。

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

いよいよ迎えた最終話。最終話だけあって、ラブラブなエピソードてんこ盛りである。家で仕事をする麻衣を見つめる上下から始まり、上下が風邪を引き看病パート、ラブラブなデート、さらには「一緒にお風呂に入ろう」と誘う上下……。

とにかく上下の愛がでかい。ばかでかい。

「視線が熱すぎて焼けこげちゃいそう」と麻衣が感じるほど、視線も熱い。付き合いたてのテンションというのはそう長くは続かないものだと思っていたけれど、このふたりなら添い遂げるその日までラブラブかもしれない、と遠い未来まで考えてしまう。

そして最終話まで来て改めて驚くのが、麻衣の芯の強さだ。決して雰囲気や空気に流されない。風邪をひいて少し弱気になっている上下から「チューしたい」と言われても「風邪が治るまでお預け」と言える強さ……! そこは流されるままにチューして、風邪がうつり、上下に看病されるまでがセットだと思っていた。強い!

かと思いきや、眠る上下の額だろうか、にそっとキスをする。カッコよすぎないか?

上下の「一緒にお風呂に入ろう」という誘いもうまくかわす。Tシャツにハーフパンツという姿で上下の背中を流すという。確かに一緒にお風呂に入ってはいるが、上下からすると「思ってたんと違う!」という話だろうが……。

嫌われたくないからと、つい相手が求めることに応えてしまいがちな人がどうしても多いと思う。しかし、麻衣は嫌なものはしっかりと拒否する。ベースに上下から愛されているという自信があるからだろう。

一方、上下は「麻衣に愛されている」という自信とは少し違う気がする。とにかく上下はデレデレ。家で熱視線を送るだけではなく、ヤキモチも焼くし、デート先では人目もはばからずに麻衣の写真を撮りまくる。恥ずかしがりつつも、それに応える麻衣。上下としては「麻衣なら自分の愛を受け止めてくれる」という信頼があるのだろう。

そして、嫌だということはきちんと意思表示をしてくれる、という信頼感もある。麻衣に無理をさせたり、傷つけたりしたくない。でも、麻衣なら嫌なことは嫌と言ってくれる。だから安心して愛情表現ができるのだろう(もちろん、上下の中でも「これはやったらまずい」という基準もありそう)。ラブラブな空気につい当てられそうだけれど、恋人同士のパワーバランスや、どんな関係が好ましいのかを表現してくれている。

物語終盤では上下と麻衣だけではなく、サイレントカフェ『アサガオ』の面々が流星群を見上げるシーンが。まるで平和なこの作品を象徴しているかのようだ。

振り返るととても穏やかなラブストーリーだった。上下と麻衣が付き合うまでには少し時間がかかったけれど、どちらも駆け引きをするというわけではなく、真っすぐにぶつかり合った。愛を少しずつふたりで育んでいく様子は微笑ましかった。

恋愛は……いや、人間関係は、本当は無理をしなくていい、ちゃんと好意を伝え合えばいい、という当たり前のようでいてなかなかできないことを教えてくれたように思う。

そして、松村沙友と駒木根葵汰の豊かな表情が見られたのが何よりである。


最終回の視聴はこちらから

全話視聴はこちらから

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