故郷での“ラストダンス”。「戦士として記憶されたい」ダスティン・ポワリエがBMF戴冠へ意気込む|UFC 318
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故郷での“ラストダンス”。「戦士として記憶されたい」ダスティン・ポワリエがBMF戴冠へ意気込む|UFC 318

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世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体として、世界最高のMMAアスリートが名を連ねるUFC。U-NEXTがライブ配信する2025年7月20日(日本時間)開催の『UFC 318』では、ライト級5位”マックス・ホロウェイ”と、同級6位の”ダスティン・ポワリエ”がBMFのベルトをかけて戦うメインイベントが実現。また、フェザー級11位タイの”ダン・イゲ”と”パトリシオ・ピットブル”が戦うフェザー級マッチでも注目を集めている。

今回は試合を直前に控えおこなわれたメディアデーにて、ダスティン・ポワリエが語った心境や意気込みをお届けする。

引退には「すべてがいいタイミング」

──ダスティン、キャリア最後のメディアデーですね。今のお気持ちはいかがですか?

ポワリエ: ちょっと非現実的な感じだね。感情の波が押し寄せてくる感じかな。普通のファイトウィークみたいに、あらゆるプレッシャーも、やるべきことも、減量も、同じようなインタビューもあって、頭のどこかでは試合のことばかり考えてる。でも時々、「これがみんなの前に座る最後の機会なんて信じられないね」って気持ちがこみ上げてくるんだ。

──数分前にブレンダン・アレンがここにいましたが、彼はファイトウィーク中ずっと自宅にいて、毎日ここまで運転してくると言っていました。あなたもそうしようと考えましたか? それとも、少し遠すぎますか? 

ポワリエ: 大勢が俺のスケジュールに詰め込んでくる、信じられないくらい多い用事を考えたら、あんなふうに何度も車で往復なんて無理だね。俺は南フロリダからラファイエットに飛んで、チームと一緒に2、3日ウチに泊まって、自分のジムで練習してから、昨日こっちに車で来たんだ。

──昨日、象徴的な場所でマックスとフェイスオフをしましたね。数年ぶりに彼に会い、初めて対峙してみて、何か感じたことはありますか?

ポワリエ: あいつはデカいよ(笑)。俺と家族にとって最高の思い出がある場所でフェイスオフできたのは、クールな感覚で、いい瞬間だったね。ここニューオーリンズで、あの教会の前でやれるなんて、マジで最高だよ。この物語を締めくくるには、信じられないくらい素晴らしいやり方だね。

──イベント当日のプラン、入場曲やウェインとのことなどはすべて最終決定したのですか? どんな感じになるか、少しヒントを教えていただけますか?

ポワリエ: ジェームス・ブラウンをちょこっと、リル・ウェインをちょこっと、って感じになる。ウェインが一緒にウォークアウトしてくれるよ。

──では、ジェームス・ブラウンの曲は使い続けるのですね。

ポワリエ: もちろんだ。当たり前だろ、そうじゃなきゃ。俺は、ボスになるための代償を払ってきたんだからな。だから最後の試合で変えるわけにはいかないね。あの曲を聴かなきゃダメなんだ。誰かと戦う前には、あのヴァイブを感じる必要があるんだよ。

──最後のトレーニングキャンプですが、すべてを正しくやりたいと話していましたね。少しの飲酒もやめ、そういったことすべてを断つと。今ここに座って、すべての練習を終えた今、最後の試合のために必要なことはすべてできたと感じていますか?

ポワリエ: ああ、やれたね。他のキャンプで全部やってこなかったわけじゃないけど、今回はマジで、マジで集中した。90日間、完全にシラフ。酒もマリファナもなし。流行りの食事法の話は好きじゃないけど、4、5ヶ月、カーニボアみたいな食事を続けてきた。肉とベリーだけ。たまに少しの野菜も食ったけどね。最高のコンディションなんだ。ファイトウィークにこんな軽い体重で臨むのは初めてだよ。信じられないくらいだ。だから、全部ちゃんとやったよ。

──土曜日の試合ですが、ジョー・ローガンは実況を担当しないので、ダニエル・コーミエがあなたとの最後のインタビューをすることになると思います。特に彼とのルイジアナのつながりを考えると、どのような意味を持つでしょうか?

ポワリエ: ああ、ローガンと締めくくるのもクールだろうけど、DC(ダニエル・コーミエ)もまた、あいつ自身がレジェンドで、ルイジアナ・スポーツ殿堂入りもしてるからね。すべて終わった後にあいつと話せるのは最高だよ。もう一人のルイジアナ男がニューオーリンズにいる。だから特別なんだ。

──試合についてですが…何か壮大なことをして勝ちたいと思っているでしょうが、マックスに何を期待していますか? 昨日会った時はかなり大きく見えたと言っていましたが、初めてKO負けを喫したあとの、彼の耐久力については多くの疑問があります。あなたの心の中では、この試合はどのようになると思いますか?

ポワリエ: 打たれ強さについては何とも言えないね。遺伝とかライフスタイルとか、いろんなことが絡んでくるから。あのパンチが本当にあいつに影響したかどうかは、土曜の夜にわかるさ。それを確かめるのが俺の仕事。でも、また激闘になると思ってるよ。

マックスとのトリロジーについて聞かれるたびに言ってるけど、これは13年にわたる物語で、俺たちはそれぞれ違う時に会った。違うファイターで、違う人間だったんだ。だから、試合もそれぞれ全く違う。今回は特別だと思うし、ワクワクするよね。

それにマックスはレジェンドで、殿堂入りする選手だ。良いヤツだしね。だから、最後の試合であいつと戦えるのは詩的だと感じるな。俺があいつのUFCデビュー戦の相手で、あいつが俺の最後の試合の相手になる。すべてのことがいいタイミングで起きてるんだ。

──私たちはファイターが引退について語り、「戦いが恋しくなる」と言うのを見聞きします。でもあなたは自分の意思で、引退する時期を選んで去るわけですよね?

ポワリエ: その通りだ。

──では日曜の朝、引退して幸せだと感じると思いますか?

ポワリエ: わからないね。経験してみないと何とも言えないな。ただ間違いなく言えるのは、子どもの頃から戦ってきて、背中の重荷から解放される安堵感は、多少なりともあるだろうってこと。常にトレーニングのこと、体調のことを考えてきたからね。頭の中から、格闘技っていう絶え間ないものがなくなるんだ。

もちろん、これからもトレーニングは続けるし、体型も維持する。でも最高レベルで競う必要はなくなる。それが重くのしかかることはもうないんだよ。それが良いことか悪いことか。もしかしたら、俺にはその重荷が必要なのかもしれない。確かめてみないとわからないね。

「ただ、戦士として記憶されたいんだ」

──今回の試合に至るまで、「あなたのキャリアについて話しましょう」「これを思い出すとどうですか?」といった話ばかりだったと思います。そういう話が、少し邪魔に感じ始めることはありますか?「まだ引退したわけじゃない。土曜日にはマックス・ホロウェイと戦わなければならないんだ」と。

ポワリエ: まだキャリアを深く振り返ったりはしてないね。でも、忘れてたハイライトとか、昔のファイトウィークのビデオとかを見ると、それはそれでクールだよ。俺は自分をただの普通の男、夢を追うファイターだと思ってる。振り返って「俺、結構すげえことやってきたな」なんて思わないんだ。

でも、ファンからの愛や応援の言葉は、今回のキャンプですごく伝わってきた。感謝されてるって感じるよ。いい気分だ。これまでそんなふうに自分を見つめることなんてなかったからね。たくさんの愛を感じてるよ。

──ラファイエットのコミュニティが、あなたの最後の試合でコーナーにいてくれることはどんな意味がありますか?

ポワリエ: 最高だよね。俺は裕福な家の出身じゃないから、世界中で戦ってきた試合の多くに、地元の連中は来れなかったんだ。だから、車でニューオーリンズまで来れるくらいホームに近いこの最後の試合に、今まで生で俺の試合を見たことないファンや家族、友人がアリーナに来てくれるってのは、マジで特別なことなんだ。

──ニューオーリンズで行われるという実感は湧いてきていますか?有終の美を飾るだけでなく、友人、家族、チーム全員がそばにいてくれるという、あなたにとって完璧な舞台設定ですね。

ポワリエ: 時々考えるよ。昨日の夜、ベッドで「マジか、本当にこれが起きてるんだな」って。でもさっきも言った通り、ちょうどいいタイミングなんだと思う。このスポーツに引退させられたくはないんだ。食い潰される前に、自分から去りたい。

ポワリエ 1

──あなたの過去20年近くの存在感を考えると、あなたが身を引くことは想像しがたいです。将来的に、このスポーツにどんな関わり方をしていくと思いますか? いつか、別の形でこのスポーツに恩返しをしようと考えていますか?

ポワリエ: 恩返しはしたいけど、正直ゼロから始めたりジムを開いたりする情熱はないね。今は、すでに実績のあるヤツらと練習して、助けられるならそうしたい。でも、ESPNとかで解説の仕事をして、このスポーツとのつながりは保ちたいと思ってるよ。マジで楽しかったんだ。年老いて、白髪になって、股関節がダメになるまで、俺はマットの上で学び続けるだろうよ。

──あなたのキャリアにお祝いを言わせてください。あなたが築き上げてきたキャリア、築き上げてきたレガシーについて考えた時、“ザ・ダイヤモンド”ダスティン・ポワリエについて本当に覚えていてほしいと思うことは何ですか?

ポワリエ: カードに俺の名前があったり、試合が発表されたりした時に、それが激闘になるって、俺がすべてを懸けるって、みんなが知っててくれたことだね。常に全力を尽くした。ただ、戦士として記憶されたいんだ。

──最後の試合のために故郷に戻り、同じく殿堂入りするであろう選手とのトリロジーを完結させる寸前にいます。この勝利はあなたにとってどれほど記念すべきものになりますか?

ポワリエ: とてつもなくデカいだろうね。夢が叶うってことだ。最後の試合で、ルイジアナでグローブを置く。UFCデビューはリル・ウェインの曲で入場し、最後の試合はリル・ウェインと一緒に入場する。この夢を追って、家族にいい暮らしをさせられたし、自分についても多くを学んだ。ルイジアナでそのベルトを巻いて引退して、日曜の朝に飛行機に乗らずに、自分の州の家に車で帰る…まるでおとぎ話みたいなエンディングだよ。もし土曜の夜に俺の手が挙がって、あのBMFベルトを持ってそこから立ち去れたら、俺が永遠に最強のワルだってことさ。


U-NEXT全試合ライブ配信(予定):7月20日(日)7:00~
見逃し配信:8月19日23:59まで
解説:髙阪剛、実況:市川勝也

視聴はこちら:https://video.unext.jp/genre/martial?lc=LIV0000009751&rid=FS00138

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