新王者チマエフは、試合後会見でも余裕を見せる デュ・プレシを苦しめたポジションは「お遊びみたいなもの」|UFC 319:デュ・プレシ vs. チマエフ
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新王者チマエフは、試合後会見でも余裕を見せる デュ・プレシを苦しめたポジションは「お遊びみたいなもの」|UFC 319:デュ・プレシ vs. チマエフ

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朝倉海が無念のUFC連敗、レローン・マーフィーがUFCデビューのアーロン・ピコを“スピニングバックエルボー”でノックアウト、ハムザト・チマエフが“圧勝”でドリカス・デュ・プレシを破り新チャンピオンの座に……話題が盛りだくさんの結果となった『UFC 319:デュ・プレシ vs. チマエフ』(2025年8月17日(日本時間)開催、U-NEXTがライブ配信)を終え、チマエフが勝利直後の心境を言葉にした。

「金になるなら、誰が相手でも戦うぜ」

──まずは、UFCのベルトをその腰に巻いた、今の率直な気持ちを聞かせてください。

チマエフ:最高の気分だ。とにかく嬉しいよ。

──試合内容は終始、あなたが得意とするレスリングで圧倒しました。UFC新記録となる500発以上のトータルストライクを記録しましたが、5ラウンドを戦ってもフィニッシュできなかったことに驚きはありましたか?

チマエフ:いや、別に。じっくり時間をかけて攻めていただけさ。試合の真っ最中に、あいつ(デュ・プレシ)や、あいつのコーチと話したりもしてたんだ。楽しかったよ。

──試合中にどのような言葉を交わしていたのですか?

チマエフ:「いいぞ。もっと頑張れよ、お前ら」ってな。

──試合中、何度もバックを奪いチョークを狙う場面がありました。多くの選手をその形から仕留めてきましたが、今回はデュ・プレシが巧みに防御していたのでしょうか?

チマエフ:汗で滑っちまったんだ。残り30秒ってところで、フィニッシュしようと仕掛けたんだけどな。コーナーから「残り30秒だ!」って声が聞こえたから、それで一気に極めにいったんだ。でも、それでミスっちまった。コーチには感謝してるよ。ブラジリアン柔術の黒帯を授けてくれたんだ。

でも、あのチョークをミスった瞬間は「クソ、これでもう黒帯は剥奪だな」って思ったね。まあリスペクトを示して、またくれたけど。とにかく感謝してるよ。

──今回の勝利、特にその勝ち方は、あなたにとって何かを証明するものになりましたか? これまであなたのスタミナについて疑問視する声も多く、「5ラウンドを戦えるのか?」といった意見もありました。そういった声を黙らせることができて、スッキリしたのでは?

チマエフ:他人がどう思うかなんて気にしないね。俺は自分のやるべきことをやるだけだ。で、俺が何発殴って、何回テイクダウンしたって言った? スタミナ切れにならなかっただろ? これでヤツらも分かったはずだ。

──公式記録では、トータルストライクは529発。そして、コントロールタイムは21分40秒で、これはUFC史上2番目に長い記録です。

チマエフ:テイクダウンは何回だった?

──テイクダウンは12回です。

チマエフ:そうか。上出来だろ?

──次戦についてですが、以前から噂されているアブダビでの試合も考えていますか?

チマエフ:どうなるか見てみよう。俺はいつでも準備万端だ。怪我もないしな。神に感謝だよ。

──今回の試合に向けて、アメリカでサム・カラヴィッタとトレーニングを積んでいましたが、今後も彼とのキャンプは継続するのでしょうか?

チマエフ:ああ、彼とは今後も一緒にやっていくつもりだ。カーディオ(心肺機能)トレーニングにおいて、俺が今まで一緒にやった中で最高のトレーナーの一人だよ。あそこでのトレーニングは本当にヤバいんだ。彼には感謝してる。

──新チャンピオンとして、最初の挑戦者に最もふさわしいのは誰だと思いますか?

チマエフ:そんなことはどうでもいい。金になるなら、誰が相手でも戦うぜ。

──試合中、相手の動きを封じる「クルシフィクス」の形を何度も作っていました。あれは試合前から狙っていたのですか? それともレスリングの攻防の中で自然とあの形になったのでしょうか?

チマエフ:あれは友達と楽しむためのお遊びみたいなもんさ。ジムの仲間をあのポジションで捕まえて、25分とか、時には1時間もそのままにしておくんだ(笑)。「俺は誰にもテイクダウンされないし、押さえつけられやしない」なんて言うヤツらを、謙虚にさせてやるのさ。ジムに連れて行って、あの形で押さえつけてやるんだ。だから、あれはよくやることなんだよ。

──多くのファンが、対戦相手のデュ・プレシのフィジカルの強さを話題にしていました。実際に戦ってみて、彼がこれまで戦ってきた相手と比べて特にパワフルだと感じましたか?

チマエフ:いや、みんなが言うほどじゃない。他の奴らと同じように、問題なくテイクダウンできたよ。

──先ほどのスタミナに関する質問に戻りますが、今回の試合で5ラウンドをフルに戦い抜いたことは、周囲の疑問を払拭するためだけでなく、あなた自身にとっても、自分の限界を確認するために必要なことでしたか?

チマエフ:仲間からはいつも言われてたんだ。「次の試合のためにも、一度5ラウンドを経験しておくのは良いことだ」ってな。だから今日、それが現実になって良かったよ。今日の経験で、俺はより良いファイターになれたはずだ。デイナ・ホワイトには申し訳ないけどな。彼はフィニッシュ決着が好きだからさ。最後の数秒でフィニッシュしようと頑張ったんだけど、ミスっちまった(笑)。

──試合終盤、デュ・プレシがギロチンチョークを仕掛ける場面がありました。あの時、少しでも危険を感じましたか?

チマエフ:ないな。あんなのでタップするくらいなら死んだ方がマシだ。絶対にありえない。

──あなたの旧友であるショーン・ストリックランドが、試合後すぐにSNSであなたについて言及しています。彼が言うには、あなたがたが一緒にジムで練習していた頃、レスリングでは4ラウンドにわたって彼の方が上回っていた、と。

チマエフ:あのな、ドリカスに何度もテイクダウンされてるヤツが、どうやって俺をテイクダウンできるって言うんだよ? 勘弁してくれ。あいつは打撃でもなんでも、全ての面で俺が上だ。ただ口数が多すぎるだけ。まあ、面白いヤツだけどな。今じゃ誰とつるんでるんだっけな? パウロ・コスタか。あいつらまとめて相手してやるよ(笑)。

──あなたは現在ドバイを拠点にしていますが、チェチェン、そしてかつてはスウェーデンを代表して戦っていました。今でもあなたの勝利を喜んでいるスウェーデンのファンは非常に多いです。あなたのキャリアにおいて、スウェーデンで過ごした時間はどれほど重要なものでしたか?

チマエフ:あの国には常に敬意を払っているよ。俺がファイターになったのはスウェーデンにいた数年間だ。みんな俺が国を捨てたみたいに思ってるけど、俺はスウェーデンの市民権を持っていたことは一度もないんだ。正式な書類もないまま、ただあそこで働いていただけさ。

今はイスラム教国に移り住んで、こっちの方がずっと居心地がいいと感じてる。以前からここで戦ってきたし、いつも大きなサポートをしてくれるからな。でも、スウェーデンにはいつでも帰るよ。スウェーデン人の友達もたくさんいるし、俺以外の家族はみんなスウェーデンのパスポートを持ってるんだ。だから、いつでもあそこには帰るさ。


試合の見逃し配信はこちら(視聴可能期間:9月15日 23:59まで)
https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000009707

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