「今は勝ち続ける力が湧いてくる」バンタム級マッチを制したピョートル・ヤン、3連勝で好調をアピール|UFCファイトナイト・アブダビ
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「今は勝ち続ける力が湧いてくる」バンタム級マッチを制したピョートル・ヤン、3連勝で好調をアピール|UFCファイトナイト・アブダビ

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世界最高峰のMMA団体として、世界最高のMMAアスリートが名を連ねるUFC。U-NEXTがライブ配信した2025年7月27日(日本時間)開催の『UFCファイトナイト・アブダビ』では、ミドル級5位(※ランキングはすべて試合前時点)ロバート・ウィテカーと同級13位ライニアー・デ・リダーがミドル級マッチで対戦。デ・リダーがスプリット判定勝ちでウィテカーを破る結果となった。

また、バンタム級3位ピョートル・ヤンと同級13位のマーカス・マギーが対戦するバンタム級マッチ(コ・メインイベント)もおこなわれ、ヤンが判定勝ちを収めている。

今回は、試合後会見でヤンが自らの言葉で語った心境や想いをお届けする。

「『ヤンはいつも笑ってる』ってミームがあるだろ?」

──ピョートル、おめでとうございます。試合前、「まだピークではない」と語っていましたが、今日のパフォーマンスは自分のピークからどれくらいの位置にありましたか?そして、この勝利はあなたの存在を改めて示すものになりましたか?

ヤン: 見ればすべてわかっただろ?1ラウンド目は、ただヤツを見て、距離を測っていただけ。そこからペースを上げて、俺の仕事を始めたのさ。ピークについて言えば、まだ上がっている最中だ。次の試合ではもっと良い状態になる。

──ショーン・オマリーについて多くを語っていましたが、彼も会場に来ていました。今日のあなたの戦いを見て、彼はまだタイトルショットを要求するでしょうか?

ヤン: ショーン・オマリーはUFCのプロジェクトだ。いい選手だが、トップの連中と戦う必要がある。タイトル戦にふさわしいってことを証明しなきゃならない。俺がそれに協力してやってもいいぜ。

──今夜のパフォーマンスを10段階で評価するとしたら?

ヤン: 8くらいだな。やるべきことはやった。試合をコントロールし、ダメージもなかった。満足してるよ。

──次に戦いたい相手はいますか?具体的な名前はありますか?

ヤン: 次の相手なんて誰でもいい。UFCが用意した相手なら誰とでも戦う。一列に並べろ。誰だって相手にしてやる。俺はいつでも誰とでも戦える。それを毎回証明するだけだ。

──試合を通して非常に冷静で落ち着いていましたが、それが作戦だったのでしょうか?

ヤン: ああ、それがプランだった。冷静に、焦らず、我慢強く隙を待つ。そして隙が生まれれば、そこを突く。チームと立てた作戦だ。ヤツがアグレッシブに来ることはわかっていたから、それを逆手に取ってやったんだ。

──この階級の他のファイターたちに伝えたいメッセージはありますか?

ヤン: メッセージは明確、「俺が帰ってきたぞ」だ。俺はここに居座る。そしてベルトを獲りに行く。誰が持っていようが、俺が獲りに行く。だから、覚悟しておけってことだ。

──1ラウンドはジャッジがマギーにつけたという声もありました。ご自身はどう感じましたか?また、足首への影響は?

ヤン:正直、最初に自分の足首で蹴りを入れたとき「ヒビが入ったか?」と思ったくらいさ。1Rは互角だと感じていたし、コーナーでも「際どいからプレッシャーを続けろ」と指示があった。作戦どおり前に出て崩したまでだ。

──ケージ際で“ピョートル!”コールが起きた瞬間、笑顔がこぼれていたように見えました。実際に聞こえていたのでしょうか?

ヤン:いや、覚えてないんだ(笑)。ネットで「ヤンはいつも笑ってる」ってミームがあるだろ?たぶん自然にそうなっただけさ。

──試合後、二人の息子さんをオクタゴンに招き入れていました。彼らが将来リングに立つことは想像しますか?

ヤン:正直、もうそうなるだろうなと覚悟してる。彼らのほうから「試合を観に行きたい!」って言ってくるし、ネットで全部チェックしてる時代だから隠しようがないのさ。これからは大会や練習にも連れて行って、父親として正しい方向に導いてやるつもりだよ。

──11月22日カタール大会でウマル・ヌルマゴメドフ戦をメインで組まれたら?

ヤン:興味はないね。俺はいま3連勝中。ウマルはまず2、3勝してから出直してこい。6月に5Rで受けてやると言ったのに断ったのは向こうだ。

──タイトル戦のバックアップを希望していましたが、今もその意思はありますか?

ヤン:試合後も同じ気持ちさ。いつでも計量を受けて代打に入る準備はできている。

ピョートル・ヤン 1

──10月のメラブ vs. コーリー戦の展望と相手の希望は?

ヤン:健康体でメラブとやり直したい。ただ予想となれば、メラブの圧力が鍵だ。あのリズムで前に出られれば、コーリーはどこかでガス欠するだろう。

──最近「セカンドピーク」と言われますが、何が変わったのでしょう?

ヤン:やる気とスキルは衰えていない。それに加えて、準備をもっと分析的でプロフェッショナルに変えた。デビューした年に1年間で5試合こなした反動を経験して、長期離脱すると調子が落ちると悟った。だから今は、常に動き続けることを意識している。

──学生時代からの仲間をセコンドに入れている意義は感じますか?

ヤン:彼らとは、火の中でも水の中でも行ける。長い時間で培った信頼と温かさがあるし、プロとしての知見も持つカイラトと組めば最強のチームだ。

──度重なるケガの影響と現在のコンディションはどうですか?

ヤン:古傷がうずくことはある。時には「もう年かな?」と思う瞬間もあったが、今は第二の呼吸が開いた感覚だ。トレーニングを調整して、勝ち続ける力が湧いてくる。

──ハビブは「母に頼まれて引退した」と語っていました。あなたのお母さまは、あなたの試合をどう見ていますか?

ヤン:さっきも電話したんだけど、母に「あと何試合やるの?」って聞かれたさ(笑)。友だちも横でウケてた。だから俺は「せめて試合は見ないでくれ」っていつも言ってるんだ。心配させたくないからね。

──かつて遺恨があったメラブ選手へのリスペクトが感じられます。心境の変化があるのでしょうか?

ヤン:戦えばわだかまりが解けることもあるさ。スターリングとの因縁でチーム全体に敵対心を持っていたが、タイで一緒に練習したら普通に話せた。メラブとも決着をつけたらわかり合えるはずだ。

──タイのリアリティ番組では、かつて遺恨のあったアルジャメイン・スターリングにオスカー像を手渡していましたね。あれは誰のアイデアだったのですか?

ヤン:あれは番組サイドとの共同アイデアだ。キャプテン同士の顔合わせとして「面白いだろう」って話になって実行した。いいムードメーカーになっただろうよ。

──スターリングと和解できた背景にはどんな心境の変化が?

ヤン:この競技はハードだし、メディアは“ドラマ”を求める。だから時に火花も必要だろう。でも私生活でいちいち殴り合うつもりはない。互いに一線を越えなければ、試合が終われば普通に笑って話せるもんさ。

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