『対岸の家事』第6話はロールモデルがテーマ。あらゆる生き方を肯定する江口のりこ“礼子”のスピーチに「ありがとう」の声も
働くママ・礼子は社内で行われる講演会に、新たな時代の“ロールモデル”として登壇することに。あらゆる生き方を肯定し、エールを送る力強いスピーチが大きな反響を呼んだ。
TBS系火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』は専業主婦の詩穂(多部未華子)が、立場や価値観が異なる「対岸にいる人たち」に手を差し伸べる物語だ。5月13日に放送された第7話では、そんな詩穂に大きな影響を与えた坂上(田中美佐子)との出会いが明らかに。さらには誰もが他人事とは思えない坂上家のリアルな介護問題が描かれた。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
いつものように訪れた坂上の家を訪れた詩穂は調味料棚に未開封の醤油が何本も並んでいるのを見つけ、違和感を覚える。
そんな矢先、中谷(ディーン・フジオカ)と買い物に訪れたスーパーで坂上が万引きの疑いをかけられている場面に遭遇。坂上は声を荒げて否定するが、買い物袋に入っていた商品はすべてレジを通していなかった。
詩穂は動揺する坂上を落ち着かせ、家まで送り届けることに。そこへ、スーパーから連絡を受けた坂上の一人娘・里美(美村里江)が訪れる。
他にも坂上には「感情の起伏が激しい」「同じ話を繰り返す」などの症状があり、中谷は“認知症”の可能性を指摘。里美に病院に連れていくべきだと提案する。
もし認知症だった場合、誰かがそばで見守らなくてはならず、将来的には介護が必要となる可能性も高い。しかし、里美は日々忙しなく働くキャリアウーマン。
近所に住む詩穂は親子の力になろうとするが、他人の干渉を嫌がる里美から「これは家族の問題だから口を挟まないでほしい」と拒絶されてしまうのだった。
だが、その後も頑なに関わることを止めようとしない詩穂に、「自分の気持ち良さのために他人を利用するのはやめた方がいい」と忠告する中谷。
たしかに、自分では親切のつもりでやったことでも、相手にとって本当に必要かどうかは分からない。蔦村医院の晶子(田辺桃子)に常連患者たちがしていた子作りのアドバイスや、離婚したばかりの客に虎朗(一ノ瀬ワタル)がサービスした料理のように、その親切が却って相手を傷つけたり、惨めな思いをさせたりすることもある。
相手の気持ちを考えない親切はただの自己満足だ。それでも、詩穂にはどうしても坂上を放っておけない理由があった。
苺(永井花奈)が生まれたばかりの頃、虎朗が今よりも仕事で忙しく、夜はほぼワンオペで育児に励んでいた詩穂。苺の夜泣きの激しさに疲弊し、思わず屋上から飛び降りそうになった詩穂は遠くに母が好きだった紫陽花が咲いているのを見つけて我に帰る。
翌日その場所に行き、紫陽花を呆然と眺めている時に声をかけてくれたのが坂上だった。「紫陽花って主婦みたいね」と坂上は言う。日陰で咲く紫陽花。主婦もまた誰にも見られず、誰にも褒められない中で、誰かのために人知れず家事や育児と向き合っている。
そんな孤独を抱える詩穂が、かつての自分と重なったのだろう。坂上は「あなたが寂しかった日々が、役に立つ日が来る。それまではゆっくりゆっくり、お母さんになればいい」と詩穂に語りかけ、以来ずっと日陰の紫陽花のように寄り添ってくれた。
第1話で仕事と育児に追い詰められ、屋上から飛び降りそうになった礼子(江口のりこ)を止めた詩穂。他にも、立場や価値観が異なる「対岸のいる人たち」に手を差し伸べてきたのは自分もまた坂上に救ってもらったからだった。
里美にとっても、坂上は日陰の紫陽花だ。かつて里美に「子供を持って初めて一人前」という考えを押し付けてしまった坂上。けれど、そのことを心から後悔し、家事を通して自分とは違う道を進む里美を応援してきた。そのおかげで今の里美がある。
「私はみんなに迷惑をかけるだけの存在になる」と2人からの助けを拒絶する坂上だが、人は誰しも他人に迷惑をかけて生きるもの。特に高齢になれば体の自由が利かなくなり、誰かしらに支えてもらう必要が出てくる。
だが、少なからず自分も誰かを支えてきたのだ。たとえ、記憶がなくなってしまったとしても、支えられた人はそのことを覚えている。正式に認知症と診断された坂上は薬物治療を受けながら、詩穂と里美の見守りの中でしばらくは一人暮らしを続けることになった。
同時にいつか一人暮らしが難しくなった時のことを考え、施設も探し始める。里美がやりがいのある仕事を続けていくためにも、それが坂上親子にとってのベストな選択だった。
「誰かを支えるあまり自分を犠牲にしてはいけない」「自分を大切にできる範囲内で他者に肩を貸す」ということを一貫して描いてきた本作らしく、介護問題に一石を投じた今回のエピソードは「うちも親が高齢だから身につまされる」「親の認知症は考えさせられたなぁ」「誰にでも起きうる話だからこそ、全員が見るべき大事な回だった」と視聴者にも考えるきっかけを与えていた。
今回のことをきっかけに、「私の家事で応援したい人がいる。その気持ちを受け取ってくれる人がいる。だから、私は幸せだ」と改めて実感した詩穂。そんな詩穂に憎悪を向け、家のポストに嫌がらせの手紙を投函する謎の女性(織田梨沙)は一体何者なのだろうか。
これまでは詩穂が手紙を読むのを必死で回避してきた礼子だが、夫・量平(川西賢志郎)の転勤が決定。悩んだ末に仕事を辞めて家族全員で引っ越すことを決意し、詩穂を守る役目を中谷に託す。
ところが、中谷は妻・樹里(島袋寛子)の不倫を疑っており、それどころではない様子。残りのエピソードでは、三家族の問題が真正面から描かれていくことになるだろう。
第7話の視聴はこちらから
第8話の予告編はこちら
働くママ・礼子は社内で行われる講演会に、新たな時代の“ロールモデル”として登壇することに。あらゆる生き方を肯定し、エールを送る力強いスピーチが大きな反響を呼んだ。
第5話では、元・お笑いコンビ「和牛」の川西賢志郎演じる礼子(江口のりこ)の夫・量平がついに本格登場。ほぼワンオペで家事と育児をしている礼子に無神経な一言を投げかける。一方、ディーン・フジオカ演じる中谷は詩穂(多部未華子)と子供の教育方針を巡って対立。絶妙に視聴者をイラっとさせながらも、憎めなさを残す2人の好演が反響を呼んだ。
第4話では、田辺桃子演じる医師の妻・晶子が登場。“囚われのプリンセス”となっていた晶子を詩穂が連れ出す。ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』へのオマージュと見られるワンシーンも反響を呼んだ。
詩穂(多部)がピンチに陥った礼子(江口のりこ)から子どもを預かる。そこで問題となってくるのが、育児を“肩代わり”した分の報酬。放送後には、劇中で登場したワード「肩代わり制度」がX(旧Twitter)でトレンド入りを果たした。
第2話では、ディーン・フジオカ演じる育休中のエリート官僚パパ・中谷が登場した。中谷の「専業主婦は贅沢」「旦那さんがかわいそう」発言に詩穂はモヤモヤ。そんな詩穂に夫の虎朗がかけた言葉が「めちゃくちゃ良い旦那」と視聴者から絶賛されている。
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